cover image
🎥

二◯二◯ 中絲悠の総括

Published
2020/12/28
Tags
雑記
技術

イントロダクション

 
コ口ナウイルスの影響で生活様式が大きく変わった一年という中ではありましたが、今年四月に名義を『中絲悠』と変更し、僕にとっては本腰を入れて映像というものに向き合うことができた一年でもありました。
 
今年製作させていただいた映像の一部
今年製作させていただいた映像の一部
 
学生という身分でありながらもご縁があり、MV・ライブ演出からアルバムのXFD動画まで、様々な経験をさせていただけた実りある成長の一年間を過ごすことができたと思います。この一年間でお世話になった・素敵な機会を与えていただいた方々には本当に感謝してもしきれません
 

 
そのような活動を行っている中で嬉しいことに、僕の製作物を見てくれた方々から様々なメッセージやご感想・ご質問をたくさん頂けるようになりました!中には海外の方からも作品に関するご感想をメールで頂けることがぼちぼちあったりして、拙い英語ながら時間をかけて返信してました...笑
 
最近知った伝家の宝刀DeepL 心をこめて翻訳にかけてます
最近知った伝家の宝刀DeepL 心をこめて翻訳にかけてます
 
中でも質問に関しては、僕の作品を見てはじめて映像というものに興味を持ってくれた方から共に戦っている映像制作者の方からまで、多様なものを頂きました。自分の今年一年を振り返りつつ、頂いたたくさんの質問に対する回答をアーカイブしておこう、というのがこの記事の最終的な目標となります
 

 
色々と長くなってしまいましたが、技術・リファレンスに関するQ&Aに回答していきます。以降の回答は僕自身が持つ現時点での一見解を述べただけのものにすぎず、誰にでも該当するれっきとした正解である訳でもなく、なんなら僕自身すら明日にはその考えを手放してより正解に近い考え方にブラッシュアップしている可能性がある、ということだけはご留意いただけますと幸いです
 

Q&A技術編_3DCG関連

 
「3DCG作品はどのようにして作っていますか」
「キャラクターモデル / アニメーションは自作ですか?」
 
現時点での僕の最終的な目標に「映画をつくる」というのがありまして、そのためにも「人物を軸にしたストーリーを撮る」という手法自体は意識的に取り組んできました。そのため、比較的全体的な構成に比べキャラクター造形などのディテールを詰めていく作業に対する関心が薄く、一からモデリングを行うというのはかなり気の進まないものだったのですが、そこらへんをうまくVRoidさんに助けてもらっています
 
 
基礎的な造形をほぼサポートしてくれつつも髪型だけでかなりの自由度があり、顔造形も十分すぎるほどのカスタマイズ性を持ち合わせているため、重宝しています。一年以上愛用していますが、日々アップデートにより進化しているので、今後も楽しみです
 

 
C4Dでのプレビュー画面
C4Dでのプレビュー画面
 
製作したVRMモデルはCinema 4Dに持っていくことでアニメーションをつけています。『雨と読書』まではMixamoというサイトを使って既存の動きを当てはめていたのですが、最新作『懐中道標』では全ての動きを一から手づけしました。あらゆる工程の中で一番大変だったと思います ... C4Dの物理演算(Dynamics)もかなり役に立ちました
 
はじめてのCinema 4D改訂第2版サンプル・ビデオページ|Cinema 4D by Maxon|note
こちらは、「はじめてのCinema 4D改訂第2版」を購入された方向けの情報です。 このページでは、同書で使用するサンプルファイルのダウンロードおよびビデオがご覧いただけます。 発売後、書籍に間違いなどが見つかった場合はこちらに記載させていただきます。 2019.01.23: P.283 Chapter-7-4 MoGraphカラーシェーダについて ch-7\4_1_colorshader.4dch-7\4_1_colorshader_finish.4d 上記のファイルをフィジカルレンダラでレンダリングするとクラッシュする問題を修正しました. 書籍の画像は電球がオレンジ色ですが,後工程でフィールドカラーで発光させるため,白色に変更しています. こちらはChapter 09の実際の作業をビデオに収録したものです。実際の作業の参考にしてください。 こちらでは、1-4. 大まかに形を作るのところ作業ビデオになります。 大まかに形を作る「顔」 「1-4 おおまかに形を作る」375~379ページで解説されている作業をビデオに収録し、解説したものになります。 大まかに形を作る「髪の毛」 379~385ページで行っている作業のビデオになります。 大まかに形を作る「体」 386~392ページで行っている作業のビデオになります。 1-5. 詳細なモデリング「顔」 402~409ページの作業をビデオにしたものです。 1-5. 詳細なモデリング「髪」 410~414ページの作業をビデオにしたものです。 1-5. 詳細なモデリング「手」 415~416ページの作業をビデオにしたものです。 1-5. 詳細なモデリング「胴体」 417~425ページの作業をビデオにしたものです。 1-5. 詳細なモデリング「脚」 425~431ページの作業をビデオにしたものです。 1-5. 詳細なモデリング「小さなパーツ」 431~432ページの作業をビデオにしたものです。 1-5. 詳細なモデリング「ヒップバッグ」 こちらは、書籍では解説していない部分になりますが、すべての工程をビデオにしていますので、こちらを見ながらモデリングしてみてください。 モデリング作業は一旦終了しましたが、全体の仕上がりを見つつ微調整を行っています。 セットアップの準備「全体の調整」 433ページで解説されている作業をビデオに収録し、解説したものになります。 セットアップの準備 435ページから解説されている作業をビデオに収録し、解説したものになります。マテリアルの設定やオブジェクトの整理を行い、セットアップをしやすくします。 2-1.
 
maxonjapan様の公式記事が、キャラクタアニメーションのためのセットアップを行う上で非常に参考になりましたのでご紹介します!最小限のコントローラで複雑なリグを制御する感じがとても楽しいです(初心者並みの感想)
 

 
アニメーションを付ける上で意識した点としては、「(とりわけ人間は)徹底的に静止させない」ことが挙げられます。手付けアニメーションは、自分で設定した箇所以外は本当に全く動いてくれないので、モーションキャプチャで付けるアニメーションとは対照的に「ノイズ・ガタツキなどが一切なさすぎる違和感」が発生します
 
notion image
 
呼吸や体重移動・視線などの比較的わかりやすい動作からかなり細かい体の動きまで、人間を観察していると全く体が動かないというのもなかなかに違和感を感じたので、上記で作成したコントローラ(頭・肩・腰など)にVibrate(振動)タグを適応することで立ち姿一つをとっても機械的にならないよう調整を行ったりするなど、完全に静止している状態を徹底して排除しています
 
これに近い技法として、カメラにwiggleなどの振動(手ブレ)を与えて画面全体での動きの情報量を増やすやり方が人気ですね。「動いている(と考えられる)ものは徹底的に静止させない」という考え方はCG作品を制作する上で色々応用が利くと思います
 

Q&A技術編_ワークフロー

 
「制作に使っているツールを知りたいです!」
「完成までの工程を教えてください」
 
["標準"]平面的な素材+AEコンポジット
- Cinema 4D/*(3DCGアニメーション)*/ → Adobe AfterEffects CC/*(コンポジット)*/

["NEW!"]3DCG空間+AEコンポジット
- Cinema 4D → Unreal Engine/*空間設計・撮影*/ → Adobe AfterEffects CC/*(構成)*/

メインを上記に据えつつ、表現の拡張のために様々なアプリケーションを導入しています
- Processing //クリエイティブコーディング
- Procreate //描画・イラストレーション
- Looom //描画・アニメーション
- VRoid //3DCGキャラクター作成
- Audacity, Avidemux //Datamoshing...映像の破壊
- iPhone //実写の撮影

今後頑張りたい
- Houdini //プロシージャルモデリング
- Blender //Grease Pencil
- その他、新たなものは逐次触れていきたい所存
JavaScript
 
notion image
 
『Heaven and Hell』 ~ 『雨と読書』間の作品は、2019年から引き継ぎCinema 4Dで製作したアニメーションをマルチパスとして書き出して、AfterEffectsでゴリゴリにコンポジットしていくという手法を取っていました。Cinema 4Dで出したものがそのまま作品のシーンとなることは全くと言ってもいいほどなかったと思います
 
作品内に広がりのある立体空間を展開することが苦手であるという自分の欠点を隠していたのもありますが、平面的な要素たちをAfterEffects上の3D空間で構成していくという形をとることが多く、「片目で見ると3D」というご感想をいただくことが多かったです
 
notion image
 
最新作『懐中道標』は対照的に、空間設計にUnreal Engineを導入することで3DCGアニメーションという形で真っ向から勝負した作品になりました。Cinema 4Dで素材を作り、Unreal Engineで作った空間に配置していく工程は、ジオラマを作るような感覚で比較的楽しく作ることができました
 

 
サイトのスクリーンショット... 公式サイト様より引用
サイトのスクリーンショット... 公式サイト様より引用
 
あと、Datasmithは最高です!Cinema 4DからUnreal Engineへ、Dynamics等も含めほぼ問題なくデータを移行してくれます。今回のワークフローが実現可能だったのは彼のおかげと言っても過言ではありません。
 
後者は書き出した撮影素材に空間を破壊するようなコンポジットを極力加えることのない、撮影で出た画重視の製作プロセスだったという点では「映画撮影」という目標に一歩近づいたようにも思えます。しかしながら、個人的に前者のプロセスの方が最終的なルックが面白く感じたりもするので、どちらも使える武器として持っておきたい表現方法であるとは思います。それぞれ異なるおもしろさがあるなぁと、自分の作品を振り返ってみて感じる師走です
 
今後、どちらの良さも兼ね備えるハイブリッドな表現に昇華できたら最高ですね ... いろいろ頑張ります
 

Q&A技術編_AfterEffects

 
「AfterEffectsのオススメエフェクトを知りたいです」
「AfterEffectsで導入しているプラグイン等を知りたいです」
 
自分の主力ツールがAfter Effectsだったのもあり、一番頂いたご質問かもしれません。残念ながら、「どんな映像にもこのエフェクトだッ!!」ドン!!みたいな具体的な表現を出すエフェクトの紹介は少なげですが、こういうのは結構好きなぁ~... みたいな表現の嗜好はご紹介できそうです
 
あるフッテージを全体の画を変化させるための要素として使うDistort系
 
notion image
 
ジャンルとして広すぎてかなり婉曲的な表現になってしまったのですが、一番好きなのはやはりこれだと思ってます。上記画像で言うところの赤枠のような、コンポジション内のフッテージを指定できるパラメータを持っていることが特徴的です。あらゆる例を挙げるとキリが無いと思いますが、
 
["標準"]Time Displacement //マップの輝度値を基準としてピクセルと時間の関係を歪める
["標準"]Displacement Map //マップの輝度値を基準としてピクセルと座標の関係を歪める
["無料プラグイン"]Displacer Pro //Displacement Mapの発展?(未使用/言語化不可能)
["有料プラグイン"]S_Distort //マップを用いて形を歪める(言語化不可能)
["有料プラグイン"]S_DistortChroma //マップを用いて形・色を歪める(言語化不可能)
JavaScript
 
などが僕の知る範囲で条件を満たすエフェクトたちです。彼らの面白さの魅力としてはやはり、入力するフッテージに応じて出力結果が無限に変化することにあると思います
 
notion image
 
指定したフッテージの輝度値を用いて、それらの情報を元に画面をゆがめていくタイプが多いです。そのため機能自体はシンプルでも、驚くべき表現の幅広さを見せてくれます。標準搭載されているTime Displacement(「時間置き換え」)を例に作成したものがこちらです
 
notion image
 
上の5つのアニメーションは、下のオリジナルのアニメーションを行うコンポジションを複製し、それぞれに異なるマップ用フッテージを指定したTime Displacementエフェクトだけを適応したものです。一番右のサンプルを見ていただければわかると思いますが、かなり滅茶苦茶やっても白~黒が満遍なくある素材を指定する限りアニメーションとしては結構面白くなる場合が多いです
 
誇張抜きで無限に動きを考えられるので、人と被るような表現が出にくいと思います。面白いのができたら教えてください
 
[有料プラグイン]Diopter
 
 
カメラレンズにおける効果のような画を得られるブラー系エフェクトです。動画では実写の味付け用として紹介されていますが、『懐中道標』にて撮影素材をさらに実写ライクに馴染ませる目的で多用しました
 
用途によってCGとの相性もかなりあると思います。みんな大好きChromatic Aberration(色収差)も入っていたりと、割と汎用性も高そうです
 
[有料プラグイン]Re:map
 
 
なかなか曲者ですが、大いなる可能性を秘めた有料プラグインです。Cinema 4Dなどから書き出したUVWマップ画像を基準として、指定したフッテージを転写してくれる、という機能になっています。これも冒頭で紹介したフッテージを使用したDistort系に纏めようと思ったのですが、少し毛色が異なるので別枠で紹介しました
 
指定先のフッテージは動画・コンポジションなどの動くものでも問題なく動作する為、3Dモデルアニメーションの上に映像を転写することなどもできる、ゴリゴリコンポジット人間御用達の優れものです。もお使いになられております。僕は割と実験的な使い方しか未だに見出せていないので、もっとおもしろく活用していきたい.... !!
 
 
[標準]Gaussian Blur, Sharpen, Gaussian Blur, Sharpen... (以下無限)
 
 
半年前くらいに見つけた面白い表現です。ブラーをかけ、シャープをかけ、ブラーをかけ、シャープをかけ、ブラーをかけ、シャープをかけ.....と無限にやっていると最終的にこうした縞模様のようなルックに落ち着きます。こういった実際のエフェクトの効果と出てくる結果が想像と大きく異なる奴って滅茶苦茶面白いですよね
 
 
この出力結果に『反応拡散系(reaction-diffusion system)』という名前がついていることは最近知りました。下記の中間耕平さんの作品が有名ですね。CGでありながら、どうして計算のみでこうした生命的・有機的な形態が現れるんでしょうね?面白いなあ、世界....
 
 
[標準]Lumetri Color
 
これが無いとダメな体になりました AEでカラコレが色々と行えるエフェクトです。
 
Creative > Look から標準で搭載されている豊富なプリセットから好きな色味を選ぶのも良いですが、最近自分でLUTを作り、適応する方法も身につけたので、自分好みの色をより狙って出しやすくなりました。楽しいです
 

Q&Aリファレンス編_チュートリアル

 
「勉強に用いたチュートリアルを教えてください」
 
具体的なチュートリアルをたくさん挙げるというよりは、傾向をお伝えする形になりますが、「機能などの技術的な説明に比重を置いているもの」を見る意識はしています。「○○風・△△の作り方」などの、表現としての完成形が明示されているものではなく「◇◇(エフェクト・機能名など) Tutorial」などで検索することで、あくまで完成形が機能を理解するための副次的なものであることを念頭におき、チュートリアルから収集するものを最低限技術のみにするように心掛けています(例外も多いと思います)
 
notion image
 
チュートリアルはあくまで教材なので、表現を得る場所は極力他に置いておくべきなのかなあというのが私見です。慣れてきたら公式のヘルプなどを見るのが理想的ではありそうですが、流石に土台無しで表現の為に求めている機能をヘルプから一発で得るのは難しいので、最初の段階は完成形に囚われない意識を持ちつつうまくチュートリアルを利用していけるのが理想だと思います
 

おわりに

 
いろいろと激動の一年ではありましたが、皆様も2020年お疲れさまでした!個人の力量不足で完成までに至らなかった作品も多く、その中で何とか作りあげることのできた作品もこうして振り返ってみると反省すべき点が多い為、まだまだ勉強が必要だな、と感じる一年でした
 
来年は今年以上に研鑽していきますので、何卒よろしくお願い致します